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臨床心理士で信州大准教授の高橋史さん=東京都内

 中学受験に挑戦する親子は年々増えているが、過酷な受験勉強をきっかけに、親子関係が壊れてしまう例も少なくない。親のイライラや不安を子どもにぶつけないためには何が必要なのか。信州大学准教授で、子どもの発達を専門とする臨床心理士、高橋史さんに聞いた。

 ――私自身も中学受験を控える子どもの親ですが、たとえば子どもがテストでケアレスミスを繰り返すと「問題文の条件に線を引いた?」「答えを書いた後、確認した?」と詰めてしまい、反省することの繰り返しです。

 わかっているのに出来ない――。これがケアレスミスですよね。多くの子は解答した後に本当にあっているのかを無意識にチェックしているのですが、ミスが多い子はそこを飛ばして次の問題にいってしまうわけです。そこを親が何度叱っても、ミスはなくなりません。「チェックをする」という行動をいかに習慣化するかが大切な目標になってきます。

 ――どうすればいいのでしょう。

 チェックを呼びかけてくれる存在を、自分の「中」と「外」につくります。たとえば、漢字を書くときに、いつも「はね」を忘れてしまうとします。そのとき、頭の中だけで気をつけようとするのは、チェック機能が自分の「中」だけなので、おそらく効果的ではありません。

 「はね」と声に出しながら一画ずつ書いたり、あらかじめチェックリストを用意したりする方法が「外」にもつくるやり方です。

 でも、いくらチェックしてもミスは出るものです。

自分の行動を振り返ったり、見通しを持って行動したりする能力は12歳ごろに急に発達すると言われます。まだ子どもが精神的に幼い場合、親はどう接するべきなのか。記事の後半にアドバイスがあります。

脳の発達度合い 受験生でも大きな差

 実際、自分がやった行動を振…

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